松毬コロコロすとーんず沼に落ちちゃった

非ジャニオタによるスト担体験記

”難”の人

結成6周年記念のスペシャル月間のおかげで五月病を免れた我々は、

6月になった途端燃え尽きて倒れるんじゃないかと思いきや、

めっちゃ元気に生かされてますね。

5thシングル情報解禁に新しいお仕事の発表に絶えないメディア露出。

加えて6人中3人も誕生日がいたんじゃそりゃお祭り騒ぎですよ。

そんで来月くらいには『マスカラ』の音源なり映像なりが世に放たれるわけでしょう?

そのままリリース月に突入してしまうわけでしょう?

忙しいったらありゃしないぜ。

 

オタクの分際でもこれだけ忙しいんですから、

SixTONESくんたち本人はもんのすごく忙しいわけで。

その中でも特に多忙を極めているのでは? と噂される男が

今回の記事の主人公です。

 

松村北斗! 誕生日おめでとう!!

 

SixTONES最後の男

デビュー期に出演した朝の情報番組にて、

彼は自らをSixTONES最後の男」とプレゼンしました。

曰く、

メンバー6人をひとりずつ思い出していったときに、最後まで残るのが自分だと。

 

この発言を聞いたときには、

テレビの前で「そんなことないよ!」と声に出してフォローした筆者でしたが、

でも、まあ、その……正直な話……

自分も松村北斗個人を認識できたのは6人の中で一番遅かったものですから……。

 

スク革の子は知ってた。

Rの法則の二人も知ってた。

京本政樹の息子もなんでか知ってた。

スノープリンスの子だと知ってびっくりたまげた。

……と、こんな状態でしたから、

唯一松村北斗のみ、完全ノーマークだったわけです。

もしかしたら彼本人も、こういった「ほんのちょっとの知名度の違い」を気にして

前述の発言に至ったのかもしれません。

 

しかし!

これは2019年夏に突然ヌルッとSixTONESにハマった人間に限った話です。

(【余談】ハマった経緯はこちら↓)

ma2boxxxxxx.hatenablog.com

 それではここで、デビュー以降の彼の出演作をただただ羅列してみましょう。

  • 2020年1〜3月 『10の秘密』(フジ系連ドラ)
  • 2020年9〜11月 『一億円のさようなら』(NHK連ドラ)
  • 2021年1〜3月 『レッドアイズ 監視捜査班』(日テレ系連ドラ)
  • 2021年2月公開 『ライアー×ライアー』(アスミック・エース映画)
  • 2021年5月31日 『女王の法医学〜屍活師〜』(テレ東系単発ドラマ)
  • 2021年秋〜 『連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ』(NHK朝ドラ)
  • 2021年11月公開 『劇場版「きのう何食べた?」』(東宝映画)

シンプルに出過ぎ。はちゃめちゃに売れっ子。

筆者が彼の存在を知ってから今まで、

彼の中になんの役も入ってない時なんてほぼ無かったのではなかろうか。

 

統計を取ったわけじゃないですけど、

俳優・松村北斗を入り口にSixTONES沼に引き摺り込まれた人はたくさんいます。

しかもただ出演作が多いだけでなく、

「ワンコ」という属性まで付与されつつある今日この頃。

彼が「国民的ワンコ」と呼ばれる日もそう遠くはないかもしれません。

これだけ売れておきながら、もう「最後の男」なんて言わせねぇぞ(威圧)

 

さて、とは言え、筆者のようなタイミング、

つまり俳優業からではなく、YouTubeメインで彼を知った者にとっては、

松村北斗は本当に掴みにくい男でございました。

 

2019年夏、筆者は「この沼にはハマりたくねぇ!」とジタバタしながら、

YouTubeにおすすめされるがままにJr.チャンネルを見漁っておりました。

おすすめされるがままということは、順不同。

どうせ全部見るんだから順番に見りゃよかったんですけど、

まさか全部見るとは思わなかったんだもん。

 

順番バラバラで見るとどういうことが起こるかと言うと、

「なんかこの黒髪の子、テンションの浮き沈みが激しいぞ」

っていう事態が発生します。

きょもほくサシトークの黒髪と関コレ密着の茶髪が同一人物なのは

初心者にとっては難問過ぎる。

 

ようやくハマったことを認め、

今度は古いものから順にJr.チャンネルを見ることになるのですが、そうすると

彼がメンバーにもスタッフさんにもだんだん心を開くようになっていった様

を目の当たりにすることができます。

もちろん初期の頃が険悪だったとかではないんですけどね。

ただ、アスレチック動画↓


www.youtube.com

↑における慎太郎の

「北斗があんな楽しそうなんだもんなぁ。来てよかったですねぇ!」の一言で、

新参者でも「なんだか色々あったっぽいなこの子達……」と察するに余り有るわけで。

 

グループ内のポジションとしてはクール&セクシーな役回り。

本来の性質はものすごく人見知りマイペースかつ文学的

でもはしゃぐときははしゃぐし、かまってちゃんだし、

芝居上手いくせに嘘で取り繕うことはしない

陽キャ集団SixTONESの中にあって、彼はちょっと異質な存在であり、

ともすれば「難しい人」という印象をも抱かせます。

 

でもこの「難しさ」って、すごく共感できるというか、

陽キャじゃない側の人間にとっては、身に覚えのある「難しさ」だったりします。

当然彼はトップアイドルなので、我々にとっては遠い存在。

でもなんだか「彼も同じ人間なんだな」と思わせてくれるような存在でもあり。

 

誕生日ブログ恒例の漢字一文字。

ずばり”難”でいこうと思います。

断じてディスってないです! まだ怒らないで!

これから書くのは、ただの「難しい奴」ではなく、

「難しいことを果敢にやる男=松村北斗」のお話です。

 

 

難しい「歌」 

Jr.チャンネルを見漁っていた頃、

正直彼にはあまり「歌」のイメージがありませんでした。

初期の楽曲の歌割りは京本&ジェシーに偏りがちだったし、

「これは生歌じゃないな?」ってパフォーマンス動画も何本かあるし。

でも関コレの『Amazing!!!!!!』のソロパートでは

被せ音源を上回る声量でがなってる姿が印象的で、

「なんて気が強い子なの」って思った覚えがあります。

 

声の良さは喋ってても歌っててもよくわかりますね。

滑舌を改善した経験があるようだし、たしかにちょっとこもりがちというか、

おそらく口腔内を占める舌の体積が……ってこの考察キモいわ。やめます。

 

昔からの彼のファンにはお叱りを受けそうだけど、

SixTONES松村北斗しか知らない者の判断としては、

彼の歌手としての良さが現れ始めたのは2019年以降だと思っています。

 

この年に発表された楽曲は

  • "Laugh" In the LIFE
  • Mr.ズドン
  • Rollin'
  • 光る、兆し
  • RAM-PAM-PAM

というラインナップなんですが、

まず単純に曲がすごく良い。

そして難しい。

 

これ以前の曲ももちろんすごく良いんですけど、なんというかこう、

アーティストとしてのステップが一段上がったと言いますか、

わかりやすいところを挙げると

京ジェ以外のハモリが急激に増えた

とか、

ここぞという場面での京ジェ以外の起用が増えた

ってところが特筆すべき点かと思います。

ちなみに「ここぞという場面」っていうのは、

歌い出しとかサビ前とか落ちサビとかのことです。

 

たとえば『光る、兆し』。

この曲は歌い出しが北斗ソロで、

サビ前は主旋律をきょもが歌っているところに、

前半2小節は樹のオクターブ上、

後半2小節は北斗の下ハモが展開、

サビにいたってはハモリが厚すぎて誰がどこ歌ってるかわからんけど、

最後の「突き進め」のところは北斗のオクターブ下が聴こえるという、

これ以前の曲と比べ明らかに複雑さが増した歌割りになっています。

 

参照している音源が『NAVIGATOR』収録のソニー再録バージョンなので

初公開時よりも進化している可能性も否めません(てか多分してる)が、

少なくとも歌い出しソロとサビ前の上下ハモは当時から存在していました。

そして筆者が認識している限りでは、

きょもほくの上下ハモというお宝が発掘されたのもこの曲だと思われます。

 

筆者は再三申します通りジャニーズに詳しくないので、

デビュー前の楽曲をどういった方が担当されていたのかとか、

いつからレーベルとの曲作りが始まるのかとか、

そこらへんのことは全然わからないんですけど、

もしかしたら2019年あたりからうっすらソニーが絡んでんじゃね?

って思ったりすることもあります。

 

まあそんな与太話は置いておくにしても、

2019年は製作側にとっても聴き手にとっても

松村北斗の歌」に対する期待値が爆上がりした年である

ということに間違いはないかと思います。

 

さて、話を2020年へと進めましょう。

筆者が参戦した『TrackONE -IMPACT-(1/7昼横アリ)』のMCにおいて、

6人がデビュー曲『Imitation Rain』について語る場面がありました。

そこで北斗が自分のパートはほぼ下ハモであることに言及し、

「(低音が)出たら歌ってと言われた。だからもし出なかったらパートなかった」

と明かしていたのが印象的でした。

 

その後公開されたレコーディング動画↓では、


www.youtube.com

 

「歌における自分の居場所がなかったんですよずっと」

「音楽チームのプロの方々に、低いの出るし、太くて良いねって風に言ってもらって」

「高い方もすごい高いとこまで出るって言ってもらえて」

「どっちも音域を広げたい」

「やっと見つけた居場所なんで伸ばしていきたいと思います」

と語っていました。

 

これを踏まえて実際に『Imitation Rain』を聴いてみると、

まあ見事に本当にほぼ下にいる松村北斗

特に転調パートの

きょも主メロ・ジェシー下ハモ・北斗オクターブ下の三層は圧巻で

美しい楽曲のハイライトにふさわしい荘厳なハーモニーとなっているわけです。

 

各音域の歌うま人間を選抜して作ったコーラスグループとかならともかく、

ボーカルに関しては特別な訓練を受けていないアイドルが、

男声のみのオクターブハモをこんなにガンガン多用するとか、誰が想像できたでしょう。

そもそもジャニーズは歌のレッスンしないって事実が衝撃だったけどもそれは余談。

 

「オクターブでユニゾンできちゃう」SixTONESの大きな武器であり、

その「下」を担うのが北斗。

しかし、それもつい最近の2019年末からの話ですから、

単純に対応力がエグいと言えます。

 

ところが彼の対応力はこのあともさらに試され続けます。

2枚目の『NAVIGATOR』での北斗は、

まず出だしからオクターブ下

Hey you! に続くサビ前もぴったりオクターブ下できょもにくっつき、

サビに至ってもオクターブ下

たしかこの曲のオクターブ下には

髙地も参加していたと記憶しています(髙地もすごい)が、

とくに低音がグワッとくる「NO LIMIT 無限大」の部分はがっつり北斗の声だし、

ラップパートの合間に入るきょもほくのオクターブユニゾンとかもう

はい大優勝ですおめでとうありがとう。

 

そろそろ「オクターブ」がゲシュタルト崩壊してきましたが

3枚目『NEW ERA』に話を進めます。

まず出だしの「あーいーあーいー」のところから

オクターブ下に居る北斗。

でもこの曲ではオクターブ下だけの男ではありません。

表題曲としては初となるソロパートもありますし、

サビ前ではオクターブじゃない下ハモにも挑戦。

サビに関してはもうどこを誰が歌ってるのかわかんないけど、

主メロに対し上ハモ下ハモがずーっとくっついてる三層構造

特にこの下ハモはなんでかわからん(わからん)がクソ難。

そして極め付けは、ジェシーの落ちサビから髙地→慎太郎とソロで繋いで、

一番美味しいところで北斗のソロ!

髙地→慎太郎の部分は音程が上向きでテンションもどんどん上がるのに、

北斗ソロでは敢えてぐっと音を低くして、またすぐ上がって、これもかなり難しい。

しかもソロ後には全ての音がピタッと止まって、ギターソロ、からのラスサビ。

はいかっこいい大優勝おめでとうありがとう。

 

さらにさらに、アルバム『1ST』とかいう最高傑作においては、

『ってあなた』であの京本大我とがっぷり四つで、

3回あるサビが全部ハモリのパターンが違うというド変態構成。

特にラスサビでは途中で上下が入れ替わるという荒技まで披露します。

『Mad Love』では「女性っぽさを意識」して歌っていると本人も言っていましたが、

ここはさすがの表現力、というか、演技力、というか、

なんちゅう声を出すんや松村……!

 

だいぶ長くなってる自覚はあるけど『僕が僕じゃないみたいだ』の話もします。

この曲ではまたも歌い出しを任されますが、

いきなりサビのメロディで、しかも得意の低音域ではなく、

ファルセットまで駆使しなければならないという鬼設定

さらには落ちサビのソロも北斗だし、しかも長い。

最後にはきょもの主メロに上ハモを被せるというびっくり構成。

 

こうも楽譜の上から下まで行き来できるアイドル、そうそういませんて多分。

サッカーで言うとサイドバックみたいな、

桁違いの運動量で守備も攻撃もどっちにも参加しますよみたいな。

歌に関してはSixTONESみんな難しいことを軽々やってるんだけど、

中でもこの人の守備範囲の広さ、オールマイティさが

楽曲に厚みを与えているのは最早疑いようもないのですよ。

これからもきっと彼には難しいパートが回ってくることでしょう。

どんな進化を遂げるか、楽しみでしかたありません。

もう「歌における居場所がない」なんて言わせねぇぞ(威圧)

 

難しい「役」

あんまり必要ない情報かもしれないのですが、一応念のため小文字で明かしておくと、

筆者には演劇の経験があります。

いつどこでどの程度やっていたかを明かすと身バレの危険があるので隠しますが、

役者から始めて、演出も経験して、最終的には脚本を書くのがメインになってました。

全て舞台で、映像作品はやる機会がないまま、足を洗いました。

そんな人間が書いた戯言が続くんだなぁって、ぼんやり理解していただけると幸いです。

 

筆者が知っている北斗の芝居は、デビュー以降の作品と、

あと『パーフェクトワールド』と『坂道のアポロン』はAmazon primeで見ました。

坂道〜』は出番が少なかったのでなんとも言えませんが、

それ以外の作品を見てきた感想としては、

「いい役者だな!」

と思っています。

多分オタクの贔屓目とかではなく。

 

芝居の上手い・下手の評価基準なんてものは存在しないので、

好みの問題といえばそれまでですが、

それだと書くことなくなっちゃう。

とりあえず1作品ずつ簡単な感想を書いていきますかね。

 

パーフェクトワールド

見る前から「難役を好演!」という評価は耳にしていましたが、

実際見てみても「まさにその通りだな」って思いました。

 

10の秘密

こちらも「謎多き青年」で、かつ「母親を殺されている」というなかなかの「難役

加えて、主演俳優とばちばちにバトルする場面があるという難しさもありました。

あとピアノも弾かなきゃだったし、かなり挑戦の多い役だったのかなという印象。

でもちょっと「うーん」と思うところがあったので、それはのちほど。

 

一億円のさようなら

これは二人一役っていう設定がまず難しい。

しかも同じ役をやる相手は、経験豊富で、いい意味で派手さのない名優。

トレースするのは難しいだろうし、元の顔もそんな似てるわけじゃないのに、

回を追うごとにどんどん同じ人に見えてきて、素晴らしかった。

妻役の女優さんも凄まじかったので、引っ張られた部分もあったんだろうけど、

いやぁ、良いものを見させていただきました。

 

ライアー×ライアー

ジャニーズが普通なら得意とするはずのイケメン役なのに、

本人が難しがってたのが逆に面白い。難しがるなよ。

「ジャニーズ主演の少女漫画実写化映画」というものを初めて見たけど、

主演の二人も脇を固める役者陣も隙のない上手さで、

思っていた600倍は楽しめました。

雑誌の表紙ラッシュもすごかったね。

 

レッドアイズ

松村=ワンコっていうファン内のイメージにとうとう制作側が寄ってきちゃった。

最終回近辺の緊迫した展開のキーとなる人物で、

裏切ったと思ったら実は裏切ってないとか、難しさもある役だったはずだけど、

最早簡単にやってるように見えちゃった。

 

女王の法医学

ついに本当に「ワンコ」に。

こちらも軽々演じていた印象。

シリーズ化の気配をムンムン感じたんだぜ。

 

カムカムエヴリバディ

まだ見てないけど、設定を読んだだけで白米6杯いける。

ただちょっと心配になるくらいイケメン要素が盛り盛り。

名家の跡取りで? 英語が堪能で? 好青年で? 顔が良い?(最後のは書いてない)

ハードルガン上げも良いところだよ。

本当に心配だ……視聴者の命が。

 

さて、ここまでで何回「難」って字を書いたでしょうか。

難しい役が多いというのは、それだけ期待されている証拠でもあります。

ただこの「難役を好演!」的な評価っていうのは、

若くてまだ名が知れ渡っていない俳優さんがステップアップしていくためには

必要な評価ですけど、そこにずっと縋っていてはダメと言いますか。

 

ちょっと意地悪な話になりますが、

「多くの人が経験していないことを経験した人物の役=難しい役を工夫して演じる」

ことは、もちろん立派な成果として認められるべきである一方、

実は演じる側だけじゃなく、見る側だってその経験はしたことがないんだから、

正解は誰にもわからないわけです。

その点、

「どこにでもいそうな普通の人物を、誰もが納得できる説得力を持って演じる」

ことの方が、長くキャリアを積んでいく上では

大事になってくるんじゃないかなぁ。というのが筆者の持論。

 

最近の松村北斗の仕事を見るに、

女王の法医学』は『パフェワ』以降の作品の中では

群を抜いて「普通」の青年の役でした。

また、これもまだ見てないし原作も未読だけど、

きのう何食べた?で演じる美容師も、

ちょっと変わってはいるけれど「普通」の範疇に入る人っぽい。

 

そういった「普通」の役と、いわゆる「難しい」とされる役と、

「イケメンハードルガン上げ」な役の仕事が、

どれもバランス良く来るというのは、

本当に評価が高い証なんだろうなって思います。

 

そんなこんなで既に実力が認められちゃってるわけですから、

筆者の分際で彼の演技に関してとやかく言うつもりはないのですが、

ただ一つ願うことがあるとすれば、それは

セリフに恵まれてくれ!!

ということのみです。

 

先ほど「うーん」となっていた件。

あの「うーん」は、北斗の芝居に対する「うーん」というよりは、

セリフに対する「うーん」だったんです。

以下愚痴。

 

母親を殺したかもしれない男と対峙し、激昂し、襲う、という激しめの場面。

セリフも多けりゃ動きも多い、相手役に怪我させちゃいけない、

感情をフルオープンにし、尚且つその移り変わりも表現しなきゃならない

などなど、難しい条件はたくさん揃っていました。

おそらくしっかり準備もしただろうし、

主演俳優の胸を借りる上でのコミュニケーションも取っただろうし、

結果的にはあの作品における彼のハイライトとも呼べる

重要なシーンとなっていました。 

 

しかし、厳しめのことを言うと、

なんだか微妙にセリフが入ってこなかったんですよね。

なにを言っているかはわかるんだけど、

言葉と気持ちがぴったり合わさってないと言うか、

受け取る側の脳に入ってくる前に分離してしまうような、そんな感覚です。

 

セリフが入ってこない。感情が乗ってない。

芝居を見ていてそう感じる時、

視聴者は「この役者下手だな」って判断をしてしまいがちです。

で、その判断はまあ大体8割くらいは正しいんですけど、

残りの2割くらい、

「これはセリフのせいじゃないかな?」って思うことがあります。

 

例えばそれは、

「時代設定とマッチしない不自然なセリフ」であったり、

「視聴者を置き去りにする突飛すぎるセリフ」であったり、

「単純に発音の難易度が高すぎるセリフ」だったりします。

筆者が「うーん」となった場面は、この

発音の難易度が高すぎるセリフ」でした。

 

興奮して、声を荒げた状態で、翼くんは何度も「母」と言いました。

そのワードが出てくるたびに、筆者は「うーん」となってしまいました。

 

「ハ行」って、実はすごく発音が難しんですよね。

試しに背筋をピンと伸ばし、なるべく元気な声で

「あ!は!あ!は!い!ひ!い!ひ!う!ふ!……」と、

ア行とハ行を交互に発声してみてください。

ハ行の発音はア行に比べ、息をたくさん吐かなくちゃいけないというのが

体感できると思います。

また、ハ行は舌も唇も上顎もどこも使わずに出す音ですから、

「はは」「ひひ」「ふふ」のように同じ音を連続で出すのも地味に大変。

きちんと発声するには腹式呼吸の習得が不可欠ですが、

舞台作品みたいに大袈裟なセリフまわしができない映像作品においては、

腹から声を出すとそれはそれで下手くそに見えてしまいます。

つまり、人体の構造上難しい「母」というワードを、

逆上しながら連呼するセリフが回ってきてしまった時点で、

北斗お得意の「不憫」な状況が出来上がってしまっていたわけです。

 

もし彼に与えられたセリフが「母」ではなく「母さん」などに置き換わっていたら、

あのシーンは松村北斗の芝居にだけ集中できる場面になっていたかもしれない。

もちろん「母」の発音が全く気にならなかったという視聴者も多いでしょう。

でも筆者のように重箱の隅を突つくタイプの人間に見つかっている可能性も低くない。

そう思うとちょっと悔しいのです。

 

これには脚本家を批判する意図は微塵もありません。

自分が書いたセリフを

自ら声に出して読んでみてから入稿するタイプの脚本家もいれば、

黙読のみで入稿する脚本家もいるだろうし、

「読みづらいな」ってわかった上で敢えてそのまま入稿する脚本家もいるだろうし、

そこは自由ですので、責めるべきではない。

それに、激昂しながらも全く違和感なく「母」を連呼できる役者もいるかもしれない。

ひたすら「北斗不憫」って話なだけです。

 

ただでさえ世間から目の敵にされがちなジャニーズ俳優なんですから、

せめてセリフ運には恵まれていてほしい。

これは筆者の親心にも近いオタク心の発露でございました。

 

本人の感受性と向上心の強さはわざわざ言うまでもないですから、

これからも作品とセリフに恵まれれば、

ジャニーズ俳優にトラウマがある人たちも黙らせるような名優になるに違いない。

そうなったら、

もう「俳優ヅラするなって叩かれちゃう」なんて言わせねぇぞ(威圧)

 

難しい「話」

もうここまでで9千字くらい書いてるんでいい加減終わりたいんですけど、

やっぱりラジオの松村も語っておかないと終われない気がするんで続けます。

 

リトルトゥースでもある彼のトークには

深夜ラジオというカルチャーへの造詣の深さとリスペクトが如実に現れています。

「話長い」って言われるし、実際長いんだけど、

オードリーANNを聴き慣れてる人からすればそんな長くない。

ただまあ、アイドルがするフリートークの尺ではないし、

時に作家さんと話し合いながらきちんと構成ブッこいてるのも確実に異端。

 

ほくじゅり回って結構不思議で、毎回ちょっとずつテイストが違うというか、

わざと変えてきてるのかな? って深読みしてしまう節がいくつもあります。

 

思えば、番組開始当初から果敢に下ネタをぶっこんできたのもこのコンビだし、

頻繁に企画を薙ぎ倒すようになったのも、

リスナーと喧嘩腰(平和)になったのも、この二人きっかけな気がしなくもない。

これはリスナーに対する

「いわゆるアイドルラジオじゃなく、ちゃんとANNをやります」

という決意表明にもなった部分だと思うので、彼らの功績は大きい。

 

最初の頃はグループ唯一のタメ同士、

攻守が頻繁に切り替わる同級生ラジオの趣でしたが、

松村の「いじられたがり」が露見するにつれ、

最近ではほぼ一方的に田中優位になってるのも面白いところ。

そうして田中のペースで進むのは松村回だけかと思いきや、

直近では森本回ですら田中が大暴れし、あの森本がツッコミをする羽目になるなど、

2年目に入ってからも多彩なバリエーションを見せてくれています。

 

個性強めのメンバーがランダムで出演するというだけでも

週替わり定食みたいなラジオだというのに、

今やもうメンバーごとに違う番組なんじゃないか、

違う店で全然違う料理を食わされているんじゃないかと思うほどになっていますが、

そうやってメニューの幅を広げてきたのは、

松村の舵取りによる部分も大きいんじゃないかと筆者は考えています。

 

「いつものノリ」で90分お届けするだけでも充分面白いはずだけど、

松村もSixTONESも、どんどん未踏のゾーンを開拓していこうとします。

それってやっぱり難しくて、

ときにはインセプションラジオになっちゃうときもあるでしょう。

でもメンバーの中で最も「深夜ラジオのリスナー」と近い感覚を持つ彼が、

これからも果敢に攻めていってくれることを、

リトルストーンとして期待せずにはいられません。

今後ともどうぞ程よくパチこき続けてください。

 

ワンコ→一匹狼→ワンコ

メンバーで唯一、ジャニーズに憧れて履歴書を送った男・松村北斗

オーディションの翌日に出演したと言われている少クラでは

本当に子犬のようでした。

 

そんな彼も、思春期にいろいろな経験をし、

一時期は群れから逸れた狼のような存在に。

友達は厳選し、一人でいる時間を好む性質にはきっと偽りはなく、

「その方が楽」という気持ちは個人的にはすごくよくわかります。

でも彼には本当は人懐っこかったり、

かまってちゃんだったりする側面もあるから、

一匹狼になりたくてなった部分と、なりたくなかったけどなっちゃった部分、

両方が絶妙に入り混じって、苦しいときもあったんじゃないかとも推測します。

だって、楽屋でイヤホンをして音楽を聴いているふりをして、

実はスト5が騒いでいるのを聴いていたっていうエピソードもあるくらいですから、

なんてもどかしいんでしょう。

 

冒頭にも書いたように、彼がみんなに完全に心を開くようになったのは

YouTubeが楽しくなってきてからなのかもしれませんが、

いじられたり、「不憫キャラ」と呼ばれたりするようになってから

やっと笑顔が弾けるようになっただなんて、

ドMかよ本当に「難しいやつだな!」って思います。

 

もし彼がもっと「簡単」な人間で、

結成時に抱えたモヤモヤも全部飲み込んで、隠して、

仲が良いフリ、楽しいフリができる人だったら、

SixTONESは今みたいに仲良くなってなかったかもしれない。

対北斗のみならず、何通りもあるコンビ・1人対5人の関係性、

その全てにおいて、彼らには嘘がありません。

親しい中にも礼儀はありつつ、常に本音でぶつかり合える良好な関係。

これってただ付き合いが長いだけじゃ作れないと思うんですよね。

 

簡単には攻略できない松村北斗という男と、

少しずつ、お互いのことを知り合いながら、気遣い合いながら、

距離を詰めていった歴史が彼らにはあって、

きっと北斗に向けられた優しさは、他のメンバーにも、

そして北斗からも向けられていて、

そうやって時間をかけて大切に育んできた絆は、

簡単には壊れないぞという絶対的な自信が、

今の最強の6人にはあるのでしょう。

 

今やただのSixTONES大好きワンコでしかない松村北斗

これからも、簡単な男には成り下がらずにいてくれよな。

 

あらためまして。

松村北斗さん。

お誕生日おめでとうございます。

大好きです。

あなたとあなたの大切な人の未来に、幸多からんことを。